民法(相続編)の改正内容がついに決定!

 3月に入り、確定申告期も残すところ2週間程になりました。

 今年も相談会場に相談員として1日参加しましたが、初日から沢山の方が申告相談に来られていて、私も20~30人の方の対応をさせていただきました。

 今回(平成29年分)から医療費控除の領収書添付が不要になったのですが、自宅に保管しておくのも面倒なので従来通り提出するという方が意外と多かったですねー。

 治療を受けられた方やかかった医療機関の別に纏めて合計金額を所定の明細書に記入するだけで済みますし、e-Taxでやればそれも結構簡単に出来てしまうんですが、やはりご高齢の方にはハードルが高いようです^^;)。

 

 さて話は変わりますが、法制審議会で3年に亘り審議されてきた民法・相続編の改正案が今年1月に纏まったことが公表され、このところ新聞各紙でも報道されていましたね。

 この後今通常国会に提出され、成立すれば2019年中にも施行される見込みで、実に約40年振りの改正ということになります。

 内容は、平成28年6月に公表された中間試案から2度のパブリックコメントを経て、かなり変更が加えられた模様ですが、その中でも一番目を惹くのは遺産分割関連で当初示されていた「配偶者の法定相続分の見直し」が、

 

 ①”配偶者居住権(居住していた建物を無償で使用及び収益する権利)”を新設し、かつ

 

 ②婚姻期間が20年以上の夫婦で、一方が

   居住の用に供する建物又は敷地を配偶者に遺贈又は生前贈与した場合は遺産分割の対象から除外する

 

ことに置き換わった点ではないでしょうか。

 

 そもそも中間試案で配偶者の法定相続分を引き上げるとしていた意図は、被相続人の財産形成に対する配偶者の貢献が現状十分反映されていないことや、それにより配偶者のその後の住居や生活資金(金融資産の配分)が十分に確保されないことにあったと思いますから、その意味では上記①・②によってもかなりの改善に繋がるのではないかなという気がします。

 

 一方、税務実務の立場からすると、①の居住権はどのように評価・算定するのか、あるいは②であれば遺贈を受けた建物又は敷地は遺産分割対象から除外するだけであって、相続税の課税対象とすることに変わりはないのかといった問題や疑問も残ります。

 その辺りの関連法令も改正法が施行されるまでには整理されるのものと思いますが、改正後しばらくは色々混乱が生じそうですね。

 その他の改正点も含めて、より詳細が固まって明らかになるまではまだ何とも言えないといったところでしょうか。