平成27年分の相続税の課税割合は8.0%!

 先週、国税庁から平成27年分の相続税の申告状況が公表されました。

 

 基礎控除額の一律40%引下げなど、約20年振りの大幅改正となった相続税法が平成27年1月1日から施行され、施行初年度の課税割合(1年間に死亡された方のうち実際に相続税が課税された方の割合)がどの程度になるのか注目されていましたが、全国平均で8.0%(前年は4.4%)と前年に比べて課税対象者が約83%増加する結果となりました。

 当初、政府は課税割合が6%程度になることを見込んでいましたが、その後の路線価の上昇や株高等による被相続人の財産価値の増加に加え、基礎控除額の引下げによる影響が予想以上に大きかったことが上振れの理由として考えられます。

 ちなみに、三大都市圏を管轄する国税局別では、東京が12.7%(前年は7.5%)、名古屋が11.0%(同6.1%)、大阪が8.2%(同4.8%)といずれも全国平均を上回る結果となっています。

 

 私が講演させていただくセミナーではよくお話していますが、この課税割合というのは実際に相続税が課税された方(納付税額が生じた方)の割合ですから、「”小規模宅地等の特例”や”配偶者の税額軽減”などの各種特例を適用することによって、税金はかからなかった(納付税額はゼロだった)けれども相続税の申告は行った」という方はこの中に含まれていません。

 実はこういった方(課税対象者の予備軍)が課税対象者の背後には相当数いらっしゃるはずで、それらも含めると都心部で相続税の申告が必要な方の割合は恐らく30%以上に上るのではないかと推察します。つまり、阪神間の住宅地域であれば、亡くなられた方のうち約3人に1人の割合で相続税の申告が必要になるということです。

 

 ”もう相続税は他人事ではない!”、そんな時代が本当に始まったことを改めて実感させられる数字でした。