どうなった?「相続・贈与の一体課税」

 2022年に入って早3月になりますが、今年初めての投稿になります。

 昨年末から年始にかけて公私ともに少しバタバタしておりましてブログの投稿が出来ていませんでした。

 遅ればせながら本年もどうぞ宜しくお願い致します。m(__)m

 

 さて、今年最初の話題の一つ目は前回投稿にも挙げた令和4年度の『税制改正大綱』について、まだ国会で審議中ではありますが案の定「相続・贈与の一体課税」は今回具体化されるまでに至りませんでした。

 とは言え、依然原案の基本的考え方には「本格的な検討を進める」という表現のまま残っていますので、早ければ来年(令和5年)度から何かしら改正がなされる余地は十分にあります。引き続き今後の動向に注意が必要ですね。

 

 そして、二つ目の話題はもはや恒例ですが、直近の「相続税の申告&調査状況」についてです。

 昨年12月に国税庁から令和2年分の『相続税の申告事績の概要』と令和2事務年度における『相続税の調査等の状況』が公表されました。

 

 前者で今回注目すべき点は、課税割合(申告書が提出された相続人の数/被相続人の数)が8.8%と前年から0.5ポイント増加していることです

 平成27年の相続税法改正以来、毎年8%台前半で推移してきましたが今回は9%近くまで上昇しました。被相続人の数は前年からさほど変わっていませんので、ここ数年相続税の無申告事案に対する調査が相当数行われてきたことが功を奏して申告件数が増えたのかもしれませんね。

 いずれにしろこの点は来年の数値にも注目してみたいところです。

 

 後者で今回注目すべき点は、やはり新型コロナの影響で実地調査件数が半減(前年度比48%)している一方で、実地調査1件当たりの追徴税額が943万円と約50%増(前年度比147%)になっていることです。

 この点から、対面で行う実地調査は減らさざるを得ない中で、税務署も通常の事案は極力簡易な接触(文書・電話による問い合わせ等)で済ませ、行き過ぎた節税や脱税を目的とした悪質な事案を絞り込んで調査を行っていることが窺えます。これは無申告事案についても全く同様の傾向にあります。

 一方、海外資産関連や贈与税の事案については実地調査件数・1件当たりの追徴税額ともに減少傾向にあり、このコロナ禍で税務署も前年のようにまでは手が回っていない印象を受けますね。

 

 今年も相続を取り巻く環境は色々と変化がありそうですし、コロナ禍が長引いて納税者にとっても税務署にとっても厳しい状況が続いていますが、こういう時だからこそ環境の変化や置かれている状況を冷静に見極めて適切に対処していく他ありません。

 相続に関して少しでも悩まれていることや不安なことがあれば早めに専門家に相談しましょう。