相続財産の種類にも変化の兆し

 今月16日から、平成28年分の確定申告期が始まりましたね。

 税理士にとって恒例行事である申告相談会場での業務支援に先日対応させて頂きましたが、懸念していたマイナンバー記載義務化による混乱も特になく、昨年以上に多くの方々から相談をお受けしました。

 個人の所得税及び復興特別所得税・贈与税の確定申告・納付期限は3月15日(水)、消費税の同期限は3月31日(金)ですので、申告が必要な方はマイナンバーの本人確認書類を持参の上、期限内に申告するようにしましょう。

 

 さて、改正相続税法の施行初年度にあたる平成27年分の課税割合が前年に比べて大幅に増加したことについて以前掲載(「平成27年分の相続税の課税割合は8.0%!」)しましたが、実は課税対象となる相続財産の種類にもここ数年大きな変化が見られます。

 

 相続財産には色んな種類のものがありますが、一般的に保有されていることが多い主なものとしては、

 ①土地

 ②家屋

 ③現金・預貯金

 ④有価証券

の4つがあり、例年これらの財産で相続税の課税対象となる財産価額全体の約90%を占めています。

 

 そして、この4つの中で最も大きな割合(全体の40~50%)を占めているのが①土地であり、その傾向は今も変わりがありません。しかし、ここ数年この土地の全体に占める割合が徐々に減少してきており、最新の平成27年分では38.0%にまで下落しました。

 バブル崩壊後のように土地の価値(地価)が下落している状況であれば何ら不思議はありませんが、このところ都市部の地価はむしろ上昇しているにも拘わらず土地の構成割合が低下しているということは、相続財産としての土地が物量的に減少している、即ち生前に土地から何か他の財産に組み替えられていると考えるのが妥当です。

 

 それを裏付けるかのように、ここ数年増加してきているのが③現金・預貯金であり、以前は概ね20%程度であったものが平成27年分では30.7%にまで上昇しています。また、現金・預貯金ほどではありませんが、④有価証券の占める割合も僅かながら増えています。

 つまり、相続財産の構成が土地・家屋といった不動産から、現金・預貯金・有価証券といった金融資産に移りつつあるということです。

 

 不動産の相続税評価額は時価よりも低い路線価や固定資産税評価額で評価されるのに対し、金融資産の相続税評価額は時価で評価されるため、本来少しでも税負担が軽減できる不動産を相続財産として遺した方が得策なのですが、何故今それが金融資産に移っているのでしょうか?

 

 その理由としては、相続税法改正により課税対象者の裾野が拡大したのはもとより様々な事が考えられますが、最も直接的な要因は、

 ①一人暮らしの高齢者の方で、自宅や土地を処分されて老人ホームや介護付き施設等に移られる方

 ②不動産以外の財産が少なく、相続人間の公平な財産配分を考えて生前に自宅や土地を売却される方

 ③以前から自宅は賃貸でそもそも不動産を所有していない方

が増加していることにあるのではないかと私は思います。

 

  もし①や②に当てはまる場合、長年住み慣れた自宅や土地を処分・売却されることはその方やご家族にとってもかなり重大な決断となりますので、本当にその必要があるのか、他の方策は本当にないのかなど、事前に専門家(税理士等)にご相談されることをお奨めします。誰しも出来ることなら住み慣れた我が家は遺したいですからね。