基礎控除額40%減の意味するところ

 既にご案内の通り、平成27年1月1日以後の相続又は遺贈により個人が取得した財産にかかる相続税は基礎控除額が一律40%縮小されます。

 定額控除は5,000万円から3,000万円に、法定相続人比例控除は1,000万円から600万円にいずれも減額され、例えば、配偶者と子供2人が相続人の場合であれば、今年迄なら基礎控除額は8,000万円だったものが、来年以降は4,800万円になります。

 

 一年間に死亡された方(被相続人)のうち、その相続人から相続税の申告書(相続税額があるもの)の提出があった割合を相続税の”課税割合”と言いますが、国税庁の発表によれば我が国の課税割合は平成24年分で4.2%(約25人に1人)でした。この数字が欧米先進諸国に比べて低いと国では考えられており、これを6%にまで引き上げるために今回(平成25年度)の改正に至ったものと随所で言われています。

 しかし、相続財産価額の約50%を”土地・家屋”が占める我が国において、基礎控除額40%減の影響は相続税申告が1.5倍に増える程度では到底納まらないと思います。

 当事務所でも近隣市区の平成26年分路線価で簡単な試算を行ってみましたが、神戸市~西宮市の間で居住用宅地(100~150㎡)・家屋預貯金・株式(1,500万円)を保有していれば、まず相続税の申告が必要になると考えた方が良いでしょう。勿論、配偶者控除や小規模宅地等の特例を適用することで納付税額が最終的にゼロになることは十分あり得ますが、いずれにしても申告は適用要件として必要になりますからね。

 

 そう考えると、今回の改正で最も影響を受けると思われるのは、従来から相続税に対する関心も高く、対策も十分考えてこられた様な資産家や会社経営者の方々ではなく、今まで相続税とは無縁と思われていた所謂会社勤めの平均的なご家庭の方々です。実際に相続税を納付しなければならないかはさておき、少なくとも相続税の申告書を提出しなければならない方は都市部を中心にかなりの割合に上ると思います。

 まずはその準備を出来ることから少しづつ始めましょう。何か分からない事があれば私がお手伝いします。何時でもご相談下さい。