【相続のイロハ(第13回)】 相続財産(土地)の評価方法② ~宅地(自用地)~

  前回は宅地(自用地)の基本的な評価方法について解説しましたが、今回は実際の評価時にもよく遭遇するケースを幾つか取り上げることにします。

 

 まず一つ目は、”私道”の評価です。

 ご本人やご家族も私道(もしくはその持分)を保有していることを失念されていたり、あるいはそもそも認識されていない事が結構ありますが、私道も相続財産の評価対象になります。

 私道には、①特定の者の通行の用に供される(通り抜けできない)ものと、②不特定多数の者の通行の用に供される(通り抜けできる)ものがあります。

 このうち、①の場合は自用地の評価額の30%相当が私道の評価額になり、②の場合は評価しないことになっています(財産評価基本通達24)。

 

 二つ目は、”セットバックを必要とする宅地”の評価です。

 建築基準法42条2項によって道路とみなされている幅員4メートル未満の道路(いわゆる二項道路)に面する宅地は、道路の中心線から通常2メートル後退(セットバック)した線が道路の境界とみなされ、将来、建物の建替え等を行う場合には道路敷きとして提供しなければならないことになっています。

 この制限が設けられている部分については、やはり自用地の評価額の30%相当で評価(70%相当を控除)することになっています(財産評価基本通達24-6)。

 この他、”都市計画道路予定地の区域内になる宅地”や”文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地”など、一定の要件を満たす、あるいは一定の制限がある宅地の評価には相応の減額を行うことが認められています(財産評価基本通達24-7・24-8)。

 

 また、財産評価基本通達ではありませんが、国税庁のタックスアンサー(税に関する質疑応答ページ)No.4617に”利用価値が著しく低下している宅地”の評価について、概ね次のような内容の掲載があります。

 

 「次のようにその利用価値が付近にある他の宅地の利用状況からみて、著しく低下していると認められるものの価額は、その宅地について利用価値が低下していないものとして評価した場合の価額から、利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額に10%を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価することができます。

 1.道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの

 2.地盤に甚だしい凹凸のある宅地

 3.震動の甚だしい宅地

 4.上記以外の宅地で、騒音、日照阻害、臭気、忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの

 但し、路線価又は倍率が利用価値の著しく低下している状況を考慮して付されている場合には斟酌しません。」

 

 上記の項目に該当するか否かは少なからず専門的な判断が必要になりますが、相続財産に占める土地の価額が約40%である現状を鑑みると、このような宅地の評価を減額できる要素・要因を見落とさないことが実務上は極めて大事になります。

 そのため土地の評価に際しては、私は必ず現地に足を運んで周辺を含めて現況を確認するようにしています。