戸籍事務へのマイナンバー導入を審議開始!

 先月19日、市区町村が扱う戸籍事務にマイナンバー制度を導入するため、上川法相が法制審議会に戸籍法の改正を諮問したことが日刊紙等で公表されました。

 

 以前、このブログ(”相続手続の簡素化”が5月からスタート)でも触れた通り、現在、マイナンバー(個人番号)は個人の”住民票”と紐付けはなされていますが、”戸籍”とは何ら紐付けがなされていないため、各種手続における戸籍謄本等のペーパーレス化(書類添付の省略)は全く図られていません。

 今回公表された内容によると、法務省が大規模災害に備えて保存する戸籍のバックアップデータ(副本)とマイナンバーを連携するシステムを新たに構築、2019年の通常国会での戸籍法改正案提出を目指すとのことですので、ようやく戸籍事務もペーパーレス化に向けた第一歩を踏み出したといったところでしょうか。

 

 しかしながら、そこはさすが縦割り行政!^^;)

 今回、戸籍事務へのマイナンバー導入が審議されるわけではありますが、あくまで市区町村が扱う戸籍事務ですから、報道されているように市区町村に対して行う”婚姻届の提出”や”パスポートの発給申請”、”児童扶養手当の請求手続”などで、現在戸籍謄本の添付が必要とされている事務が当面の対象になるものと思われます。

 つまり、相続関連で戸籍謄本の添付が求められている相続税の申告(税務署)や相続した不動産の所有権移転登記(法務局)といった市区町村以外の行政機関とのマイナンバーによる戸籍情報の連携を何処まで認めるかについては、現時点では定かではない(審議会での検討結果次第)ということです。

 

 確かに、戸籍は親族・婚姻関係や本籍地など秘匿性の高い個人情報の塊りですから、取扱いには細心の注意が必要ですし、情報漏洩や不正利用に対する個人情報保護・セキュリティ面での規制・対策を十分に施す必要があるとは思いますが、どうせ同じ一歩を踏み出すのなら、従来の既成概念や省庁組織の枠に囚われず、国民が本当に利便性を実感できるものに是非とも変えていただきたいものです。

 今後の審議に期待したいと思います。